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Vol. 06
そばとワインは合うのか合わないのか、
早くためしてみたいものです。
四月に、永澤さんが出した本「元気に死ぬべぇ」の最後の章にぶどう畑の想いが綴られている。
以前、永澤さんに自分が顧問をしているフィットネスクラブのフロントロビーの喫茶室の壁画をギャラリーにしてくれないかと相談された。友人たちの協力を得て、それから二年近く展示会をつづけた。
その搬入の時、近くの永澤さんお気に入りのそば屋、因業屋さんに行った。
ご主人もおかみさんも、すごい人だ。日本全国のおいしいものを求めて食べ歩いたり、
船で世界一周の旅に出たり、その間は店を閉じて、お客さんが店が開くのを心待ちにするほどの人気でも、開店したころの気構えを失わずに、そばを出している。
そんなすてきな店で、永澤さんはぶどう畑の話を語ってくれた。いつもおいしく、その話をすすって聞いた。
昨年の暮、土地も決まり、作業小屋を建てるために地鎮祭をやった。
日陰には雪が残り北からの風も冷たかった。塩をふり、酒をそそぎ、神妙な顔で神事をすすめる永澤さんに榛名山も、その右に小野上山、子持山、その奥に白根山も谷川岳も、左にまわって秩父連山も、そしてあの富士山も頭をのぞかせて、山好きの永澤さんの門出を祝っているようであった。
その後、なかなか訪ねられずにいたら電話をもらった。
「ぶどうの苗が気持ちよさそうにしているから見に来てよ。」
あまのじゃくな私は、「みんながいっぱい訪ねる時よりみんなが行けない時に行きますから」と、そらぞらしい言葉をいって笑って返事をした。
以前、季刊「銀花」の取材で訪ねた高崎の風味そばきりのご主人も粋な方で、宮澤賢治の「虔十公園林」の言葉を軸にして掛けてある。虔十のような気持ちでそばを打っているご主人のそばはうまいのである。
虔十公園林を読み終わると、永澤さんが求めている、ルンズ・ファームの事を想う。
その軸の掛る部屋でゆっくりとそばを食べながら、ぶどう畑の話をしたいのである。
全く全くこの公園林の杉の黒い立派な緑、さはやかな匂い、夏のすずしい陰、日光色の芝生がこれから何千人の人たちに本当のさいはひがなんだかを教へるか数へられませんでした。
そして林は虔十の居た時の通り雨が降ってはすき徹る冷たい雫をみじかいくさにポタリポタリと落とし、お日さまが輝いては新しい綺麗な空気をさはやかにはきだすのでした。
おいしいそばとおいしいお酒を…。
(絵本作家・彫刻家)野村たかあき
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