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今年は割と雨の少ない梅雨で、困ったな…と思っていたら、終盤にきてようやく梅雨らしい空模様が続くようになった。雨になると仕事は捗らないけれど、この前植えたぶどうの苗木にはとてもありがたい雨だ。
 先々月から先月にかけて4223本の苗を植えた。苗植えのための準備作業の日を除くと、実際に苗を植えた日は20日間くらいだったが、雨の日は少なく、明るい雲の日が多かった。晴れて暑い風の吹く日もあった。ちゃんと根づくかどうか心配で、いつもよりたっぷりの水をあげて植えたのだが、案の定根つきが遅い。
 ぶどうは基本的にはとても丈夫な植物で、多少のことではへこたれないものだけど、今回はちょっとぱかり様子が違う。若木なのに老木のような表情、風情をしている。きっと植え替えの際に大きなストレスがかかったのだろう。本当はもっと前に植えなけれぱならなかったのだが、畑が整備できずに一年遅れてしまった。その間、苗床でしっかり育った木を無理に引き抜き、植え替えたのが原因だろう。畑に座り込んでじっと見ていると、可哀想なのと申し訳ないのとでだんだん頭が下がって、折った膝の間に入りそうだ。少しでも早く元気になってもらいたくて、漢方とハーブと北欧産のこんぶエキスを混ぜた特製の栄養液を、たっぷりと木にかけてあげた。2〜3日してみて
みると、こころなしか木や葉の色がよくなってきたようだ。
 このところの梅雨空と、時折のぞく太陽が、きっと元気を盛り返してくれるに違いない…と祈るように思う。
 一方、3年目になった最初の畑はとてもおちついていて美しい。
 畑全体の土を覆う草は若草色で柔らかそう。ときどき自や黄、ピンクの小さな花が咲いている。陽のあたる朝、開拓小屋の窓から見るその色と模様はまるで緑の絨毯のようだ。
 その上にスックと伸びたぶどうの木は、若木特有のしなやかさでとても健康そう。若竹色の葉は大きさも密度も丁度良く、乾いた風に揺すられている。

早くも花芽がビッチリ、秋が楽しみだ。

 だけど少し困ったこともある。この草の中にヒバリが巣をつくり卵を産んであたためているのだ。それも数カ所ある。草が伸びすぎれぱ刈らなきゃならないけど、巣を壊すわけにはいかないし、ウーン困ってしまう。早くにヒナがかえって元気に巣立って欲しい…と、草の成長ぶりをみながら競争しているような心持ちで、毎日願っている。
 花も咲き終わり、しっかりと『ぶどう』らしくなった実の一つ一つは、小粒の真珠くらいの大きさで、それぞれが締まった真ん丸だ。房全体は決して大きくはないのだけれど、なぜか「たわわ」を感じさせ、美味しい収穫の秋を予感させる。梅雨の中休みのあるタ方。残照の西空に、赤や橙、青、黄、白、紺や黒などの色をした薄い雲が、だんだん模様になって長くたなびいている。
 静かだ。遠いどこからかカナカナの鳴き声。今年初めて聞いた。やがて呼応するように近く遠くカナカナが鳴き始める。ホトトギスも鳴いている。ヒバリも高い空で囀っている。トンボもゆったり飛んでいる。暮れなずむ高い空を見上げれば、真っ自い飛行機雲がだんだん模様を裂いていく。
 カナカナの鳴き声が少し悠長になってきた。長閑な、ほんとうに長閑な赤城の畑だ。

 

ルンズ・ファーム代表: 永澤 徹




農薬・化学肥料を一切使わない。
かわりに漢方と天然ハーブとこんぶエキスを混ぜた栄養液を
かけてあげる


ボランティアでやってきた五十木夫妻とホームステイしている
タイからの留学生プロイさん

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ルンズ通信は「渡良瀬通信」で連載中です。
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