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9月に入ってからの数週間、冷たく短かったこの夏を補うかのように、好天の日々が続く。
太陽の傾きはやや深くはなっているものの、精一杯燦々とした初秋の陽光が、ルンズの畑にも毎日降り注いでいる。
9月23日秋分の日。開畑以来初の収穫をした。開墾の日々から数えて足掛け4年の歳月を重ねての収穫だった。しかし結果は散々…。
この日も朝から穏やかに晴れて、周囲の山々がよく見える。
「暑さ寒さも彼岸まで」とはよくいったもので、この朝の最低気温は5.5度。いきなりの一桁台で、前日、前々日とは10度以上も違う。もちろん今季初の「寒い」朝だ。
収穫したのは小公子という品種で、割合早くに熟すタイプ。
昨年は成長の早い木に数房の実がついたが、その実が完熟したのが、9月4日だった。それからみると今年の完熟は19日遅いことになる。
初の収穫ではあったけれど、「喜び一杯!」といった気持ちはなく、胸のうちは複雑だった。
収穫量はコンテナで七つ。プラスチックでできた青や黄の、よく野菜などが入った、さほど大きいとはいえない長四角の箱だ。
そのコンテナの半分ほどに、房の付け根から切り取ったブドウを入れる。そしてそれが七つ、七箱だ。それが今年の小公子の収穫の全て。計画収穫量の3割にも満たない。
作業の手を休めて、コンテナの中のブドウを見る。じっと見入ってしまう。
まともな房は一つもない。一つの房に数粒しかついてないのもたくさんある。半分もついていれば良いほうだ。
こうなったのは、病気や虫などの影響で傷つき腐ったブドウ粒を取り除いたから。
駄目になってしまったブドウを残しておくとそこからまた周囲に被害が広がってしまうのだ。
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(ブドウに申しわけなかったナ…)胸一杯にその想いが湧きあがる。
原因は幾つかある。幾つかの要因が絡みあってこの結果になった。
1993年以来の冷夏も大きな要因とはなっている。しかし、要因のほとんどは人間(自分)の知恵や力が欠けていたこと。この冷夏だってもっと渾身の知恵と力があれぱ何とかなっていたかも知れない。
後悔は、苦く哀しく、胸をしめつける。
ルンズの畑には、もう一種類の品種がある。この品種も初の収穫だ。名前はノートン。ノートンは熟すのが遅く収穫予定は10月下旬。
ノートンも病気や虫の被害を受けてはいるけれど、晩熟種が幸いして何とか頑張ってはいてくれる。
しかし、夏の「累積温度・累積光量」という、植物にとっての絶対条件に欠ける状況は、依然として厳しい。
自然界でも食物が不足しているらしく、ルンズの畑にも被害がでている。
ある日、房ごとそっくり食べられている木が何本か発見された。(これは鳥ではない、獣だ!)と見た瞬間に感じた。
その夜から早速見回りだ。就寝前と深夜2時頃。軽トラックに乗ってそっと畑に出る。就寝前にまわる畑はともかく、深夜の畑は闇に支配され、ライトに際立つ陰影は、自然界の凄み?!を感じる。
いたいたウサギだ一羽、二羽…いや一兎、二兎かな…。軽トラのヘッドライトに驚いて、光の束の中を跳び跳ねて逃げ惑う。
(少しはいいけど余り食べちゃわないでね…)
警告の意味で少しだけ追いかけ、小屋に戻る。
しばらくは寝不足の日が続く。
ルンズ・ファーム代表: 永澤 徹
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