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『ピロロロ・ローン、ピロロロ・ローン』
朝だ、、11月9日、午前5時30分。
いつものように今朝もまた、枕もとに置いた携帯電話の目覚ましがおしえてくれる。
暖かい朝だ。外はまだ真っ暗。寝惚けマナコをこすりこすり、窓のカーテンを引き外を覗くと、濃い霧が畑をおおっている。ポツポツとトタン屋根を叩く雨音も聞こえる。小雨が降っているようだ。
今日は入村記念日。2000年11月9日、家族6人の住民票から1人離れ、ここ赤城村に住民登録した。
農地を手に入れ農業をやるためには、農地法で畑の近くに住んでいることが必要とのことで、手続上それを証明するために、畑の中の開拓小屋に住民票を移動し、そこに住みついた。
そのころ丁度、娘が、結婚だったか婚約だったかを控えていて、住民票から父親が抜けることに、多少の物議があった。
時の経つのは本当に早い。もう満3年。
赤城村での生活もすっかり慣れて、地元での知己も随分増えた。
たまに会う古い友人と話す言葉にも、知らず知らずのうちにこっちの方言やアクセントも混じるようなことがあって、自分でも、「アリャ!?」と思うことがある。
今でも所沢の家と赤城の家を月に数回、往復しているが、当初の頃は赤城に行くときは、「じゃ、行ってくる」だったのが、最近は、「じゃ、帰るわ」になって、その言葉に誰も違和感を持たなくなってしまった。
3年の月日はササッと流れていったけど、その流れはしかし、確実な重みをもって、自分も周囲も変えてきたのだ。

夏の終わりに。 今日は衆議院選挙。赤城村に来て3〜4回目の選挙になる。
最初は確か村長選だった。次が県会議員選挙。そのあと何かの選挙があったような無かったような・・・。で、今日の衆院選。小雨の中、軽トラに乗って早速投票に出掛けた。
投票所は、『溝呂木(みぞろき)倶楽部』という、自分が住んでいる区(赤城村の行政区)の集会所。
最初ここにきた頃、名前を聞いて、なんとシャレタ名前の集会所だろうと思って感心した。
地方の、こんな草深い山村の集会所の名前の、『倶楽部』という語感が、新鮮な驚きで、そこに生きている人々の感性が伝わってきた。
嬉しくて、それはそのまま、これからこの地に生きていく自分の励みになった。
溝呂木倶楽部は昔の沼田街道をちょっと入ったところにある。
国道353号線の溝呂木の信号から北に少し行き、細い道を東に折れて入っていく。
道の右手には庚申塚やお地蔵様や古い石碑などがズラッと並び、苔むした石のたたずまいが歴史を感じさせる。村のお祭りのときには屋台店もここに出るのだ。
入口の街道沿いには、大きくて立派なケヤキの一枚板に、見事な筆跡で木彫の宿場看板が立っている。
『沼田街道・溝呂木宿』とあり、下の部分には、前橋(当時は厩橋一まで四里一丁、沼田まで四里十八丁と書かれている。
古くから住む物知りの話では、この街道は、参勤交代で会津のお殿様も通ったとのこと。
会津→檜枝岐→大清水→片品→沼田と来てこの地を通り前橋に出て、前橋から中山道を上ったのだという。
沼田宿と前橋宿の中間地点の溝呂木は宿場として発展し段賑をきわめた。
『遊郭だって二軒もあったんだぜ』街道の名残りの石畳道もある。その脇には会津のお殿様も仰いで見たに違いない、『溝呂木の大ケヤキ』の大株が残っている。自分にとって第二の故郷、赤城村・溝呂木には歴史のロマンが漂っている。

ルンズ・ファーム代表: 永澤 徹

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