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「北関東の山沿いは午後から明日にかけ大雪になるでしょう」
天気予報解説者の声に、本を置いてテレビ画面を見ると、寒に入った今の時期によく見かける西高東低の気圧配置が映っている。今日は特に等圧線が混んでいるようだ。ビッチリと細かいタテ縞模様が典型的な天候大荒れパターンを示している。
(畑も大雪だろうか…)ぬくぬくとあったかいこたつの温もりが、そのまま伝染したようなボ〜としたアタマで、激しく雪の降る畑の光景を想像する。
この冬は、赤城の畑から離れ、埼玉の自宅ですごしている。去年暮れに畑を終わしてからで、もう一ヵ月以上が過ぎた。しかし、まだしぱらくは畑に帰れそうもない。
昨年秋の定期健康診断で大腸に異変が見つかった。今までなら健診後数週間してから届く結果通知が、このときはえらく早くきた。
異様に早い通知にはピンとくるものがあった。そしてなにが書かれているのかも想像できた。あたっていた。
じつはそれより前、春ごろから自分なりにオヤッと思うことがあった。それが徐々に頻繁さを増していたので、(やっぱり…)という感じだった。だからわりと冷静で、驚いたり悲観したりはしなかった。
開拓小屋で一人暮らしの群馬での治療は何かと不便と思い、埼玉の自宅へ帰った。
村の保健センターから紹介状を貰い、自宅近くの以前から知っている病院で、精査と治療をすることになった。
結果として幸い今回は最悪の事態にはならずに済んだ。ほんとに安堵した。
しかし、その後まったく予期せぬことがおきた。
新たな命題を抱えて 「永澤さん…これは厄介な病気です。欧米では中途失明原因の第一位で日本では三位です。今のところ治療法はなく数年のうちに失明します」。
これまでの過程で一時入院の必要があった。その退院の朝、エレベーター横の掲示板に貼ってある眼科のポスターが眼にとまった。下の階に眼科があるという。
一〜二年前から眼の変調を感じていた。でもそれは書き物用のメガネが合わなくなっていてそれを使用することが原因だろう…くらいにしか考えていなかった。で、ついでだから眼を診てもらって、メガネを直そうと思い、ヒョイと気軽に眼科を受診した。
「ウーン、明日もう一度来られますか?」翌日もう一度詳しく診察した後、担当の眼科医から前述の説明があった。
たくさんの夢や目標を抱えている身だから、多少それなりの仮説をたてて、人生を考え、組み立ててはいる。しかし、今回のようなことは針の先ほども考えていなかった。
幸い失明もすぐすぐというわけでもなさそうで、個人差はあるけれども、数年の余裕はあるとのこと。少し気を落ち着けてじっくり考える時間はあるようだ。
それにしても、畑では今の時期、剪定という重要な作業がある。苗を植えてから三年目の去年、畑の状況から判断し、当初計画した仕立方法を変えた。今年はその最初の剪定年にあたる。だから重要性は増し、作業の難易度も高い。
その大変な作業をいつものボランティアの皆さんが担ってくれている。便りでは、もうすでに剪定は終了し、剪定枝の片付けに取り掛かったそうだ。有難い…とか、感謝…とかの気持ちを超越した、なにか厳かなるものを感じる。他にもいろんな面で応援してくださる人々がたくさんいる。
この尋常でない幸せを、どのように促え、どのように考え、どのように反映させていくのかが、今後の自分に課せられた命題であろう。
(二月のある日に)

ルンズ・ファーム代表: 永澤 徹

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