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 初秋のある日の昼下がり。開拓小屋のデッキのテーブルに日除けのパラソルをひろげ、いつものボランティア仲間と昼の食事を楽しんでいた。
 太陽は眩しく輝き、空はどこまでも青く、大空に塊となって数個浮かぶ白い雲は、海原を行く帆船の帆のように風をはらみ、ゆったりと流れている。
 ブドウの葉がそよ風に踊って、その葉に休みたい赤トンボが、葉にとまり損ねて戸惑って、その様子がとても可愛い。
 見遙かす山村の、陽に光る集落に、落葉焚きであろうか数条の煙が立ちのぼっている。
 天地にわたって展がる秋色に染まった光景の美しさは言い様もなく、長閑で静かな刻がゆっくりと過ぎていた。
 ふと気がつくと、畑の麓の松林の道を大きな車らしきものが上ってくる。
 ブドウの緑の壁に遮られ、一部分しか見えないが、たまに上ってくる大型トラックなどとは明らかに様子が違う。
 グッ、グッ、グッ、グッと、ゆっくりゆっくり近づいて来る。
 なんだろう…と目を凝らしていた仲間たちが同時に叫んだ。
「バスだ!バスが来た!」
 窓の大きな観光バスだった。もうそこまで来ている。
「ルンズに来たのかな?」
「いやー違うでしょう。何の連絡も無いし…」
 ああだ、こうだと言っている間に、
「バスが止まったんじゃない」と、Nさんがいう。
 もう皆テーブルから立ち上がって、入口の方を見ると、ほんとにバスがとまっている。
 やがて、白帽子にサングラスのオッチャンが「コンチワー」などといいつつ、手を振って歩いてきた。その後には老若男女がゾロゾロと続いている。

観光バスがやってきた 「イヤー連絡しようかって思ったんだけどさ、マッいいか〜ってわけでね…」
 結局、ルンズの畑をよく訪ねてくれる青梅のお米屋さんが、自分のお店の社員旅行で赤城山に遊ぶので、すぐ近くのルンズの畑に寄ったのだという事情がわかり、とりあえず一騒動にケリがついた。ルンズの畑にバスが来た最初の日だった。
 この後もほぼ二〜三週間の間に、畑を訪れる団体さんが(と、云っても二十名前後なのだが)二組もあって、開畑以来初の賑わいに、ルンズ・ファーム赤城ぶどう園もにわかに華やぎ活気づいた。
「きれいな畑で気持ちいいねぇ」
「ゆったりとして癒されるよ」
 ありがたいことに、ルンズの畑のお客様たちは、デッキに立ち畑を巡って、帰り際一様にほめて下さる。
 この一言がとても嬉しい。お客様たちが気持ちいいと思ってくださる畑は、ブドウ達にとってもきっと気持ちのいい畑だろうと思うからだ。
 ブドウにとって気持ちの良い畑を作り維持するのが自分の仕事で、この一事にのみ日夜こころをくだいている。
 今年もいよいよ収穫のときが近づいてきた。
 毎朝、樹や葉を見、実を食べ、眺め、ブドウと相談を重ねているが、今年は10月24日くらいが収穫日になるであろうか。
 初収穫の昨年は10月20日であった。成長の早かった樹からおよそ330キロの収穫を得たが、苗を植えてから四年目の今秋はその8〜9倍はいけるのでは…と目算している。
 おかげさまで質も量も今秋は昨秋をはるかに上回る出来で、あとはお天気との兼ね合いだけだ。収穫までのここ数日間の安泰の日々をこころから願わずにはいられない。
 この秋にはもう一つの収穫がある。この通信にもしばしば登場している美容液の本製品がようやく完成した。この二重の喜びの、表現のしようが、まだ自分にはわからない。

(10月7日記)
ルンズ・ファーム代表: 永澤 徹

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