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 このごろ東京に出ることが多くなって…と、書き始めてみたら『出る』という表現になんとなく可笑しくなって、一人で笑ってしまった。
 赤城にきて、畑を拓き、ぶどうを植えて、やっと最初の実がなって、収穫して、ワインをつくる過程で生じた澱で造った美容液の売り込みに、東京に出たのだった。
 ついこの間まではあの都会で飛び回っていてと思いつつ、何年ぶりだろうと指折り数えたら、なんと6年ちかい年月が経っていた。
 エッ、ウソ、もうそんなになるのかや?と、あらためて時の経つ早さに驚き、それじゃぁ、東京に『出る』という表現が自然に出てきても不思議ではないか…と、納得した。
  久しぶりに歩いた東京は、なんだか輝きがなく、落ちぶれてみえた。日本の首都、世界の大都市としてみせていた街の余裕や品格、深さや活気などが感じられない。
 開畑以来始めて売るものができた喜びに胸膨らませて、張り切っていた自分は、東京の思いがけない不甲斐なさにガッカリして、しばらくその場でボーっと佇んでしまった。
 それでも、気を取りなおし歩いていると「オヤッこんなところに」と思う場所にあった小さな公園の木々のたたずまいが、深い秋の風情を感じさせてくれて、意外だったが、とても癒された。
 しかしそんな感傷もすぐに吹っ飛んだ。道路脇の植込みの手入れが行き届かず、空きカンや紙くず、得体の知れない真っ黒な粉塵にまみれ、やっと生きている木や草がいっぱいある。手入れができないのなら植えなきゃいいのに。ものを言えない木や草が可哀そうだ。
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ルンズ・ファームの夢  東京は汚いとか、臭いとか、人が多すぎるとか、ブツクサいいながら、それでもなんとか東京を歩くたび、美容液は少しづつ売れていき、ルンズ・ファームの夢を一歩ずつ引き寄せてくれている。ほんとうにありがたいことだ。
 ルンズ・ファームの夢。そう、自分にはこの畑に賭けた夢がある。その夢というのは…。
 大風呂敷を広げるのははしたないことだけど、自分は不言実行というタイプの人間ではなく、ワァワァ太鼓やラッパを吹きながら、自分で自分の尻を叩き、何とかその帳尻を合わせていく、というタイプなので思い切って言ってしまおう。
 自分は、ルンズ・ファームを、縁あってルンズと出会う全ての人々の、月並みな表現だけれど、人生のオアシス、人生の楽園にしたいと考えている。
 人生というものが、人の一生涯の旅とするならば、ルンズ・ファームはその出発点となり、通過点となり、生きる場となり、終着点となる、そんな場所にしたい。
 それぞれの人々のそれぞれの人生が、畑を舞台に様々なかたちで交わり、そこで出会った人々が互いに敬い、助け合いながら、働き、学び、遊び、思い出を重ねつつ毎日を生きる、そんな場所にしたい。
 幸いルンズ・ファームには夢の実現に必要な資質がたくさんある。しっかりした畑、健康なぶどうの樹、美しい景観。そしてなにより畑に集う仲間たち。  つい先日、この秋2回目の収穫をした。といってもぶどうの実ではなく葉っぱ。
 黄葉した赤ワイン用のぶどう葉から抽出したエキスは、ヨーロッパでは古くから脚のむくみや痛み、静脈瘤などの治療に用いられ、現在では医薬品として認められている。
  ぶどう葉だけに含まれる、トランスリスベラトロールという特有の成分が毛細血管壁を強化し、余分な水分が細胞間にしみ出るのを防ぐとのこと。アントシアニン類、カテキン類などのポリフェノールも豊富で、血液をサラサラにして血流改善効果もある。
 自分は〈ぶどうのすべてを使いきる〉ことを目指している。今後も研究を怠らず一所懸命ぶどうと向き合って生きていきたい。

ルンズ・ファーム代表: 永澤 徹

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ルンズ通信は「渡良瀬通信」で連載中です。
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