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 師走とも思えぬ暖かい日々が続いていたが、暮れも末の29日と31日、思いがけず続けて雪が降った。
 このあたりでは21年ぶりとかいう大晦日の雪は、早朝から降りはじめて夕方前にはあがったが、まだ溶けきらぬ前々日の残り雪を覆い、辺りはすっかり大雪の様相だ。
 一面の銀世界に人や車の行き交いも少なく、夜は静かに更け、やがて2005年最初の朝が明けた。
 毎年思うことだけど、元日の朝の空気は、良い。
 窓越しに見る風景はいつもと同じ朝なのに、その雰囲気は、荘厳で、清々しく、心洗われる思いがする。
 正月二日、三日と経つとだんだんと穏やかな和やかな空気へと変わっていき、やがて普通の朝になる。この変化も正月モードから普通モードへゆっくり引き戻してくれてとてもよい。
 さぁ、2005年。
 2005年はルンズ・ファーム赤城ぶどう園にとって格別の年だ。
 5年前の2001年1月1日、21世紀の始まりの日が、ルンズ・ファームの始まりの日だった。
 以来、荒地を開墾し、畑をつくり、ぶどうの苗を植え、育ててきた。
 まったく収穫の得られない日々が2年続き、3年目も終わろうとするその秋おそくに僅かのブドウが収穫できた。そのブドウが今、一樽のワインとなって静かに熟成している。このワインがビンに詰まり飲めるようになるまでは、まだ1年以上の時間を必要とする。
 植えた苗が成長し一人前の実をつけるようになるまで5年の歳月がかかる。そのあと熟成に約3年かかるから、一人前のブドウからつくられるワインが飲めるようになるのは、苗を植えてから8年後だ。

夢の実現に向けた 希望の朝  その一人前のブドウが収穫できるのが、2005年。今年の秋だ。そのブドウをつかったワインが飲めるのは、予定としては2008年の夏以降。
 ルンズ・ファームの畑が始まったのは、5年前だが、畑の場所を入手するまでに約2年を要した。だから、もう7年目になる。
 その間、農作業的にも経済的にも苦しい時期が何度もあった。特に経済的な厳しさは、収穫がないから収入もなく、ずっと続いていて、いつも頭の上の暗雲である。
 これらの苦しみや悩みを癒し、励ましてくれるのは、畑の将来に描く夢であり、その夢の実現を支援してくれる仲間と家族だ。
 そして何時からか、作業中であれ食事中であれ四六時中、呪文のように心の奥で唱えている(5年の辛抱だ…)(2005年だ…)の、この二つの言葉なのである。
 その2005年がやっときたのだ。この元日の朝は、ほんとうに感動の朝だった。
 窓越しに見つめる先の風景はいつもと変わらぬたたずまいだけれど、その隅々までが鮮明に映る。しずかに眺めやって、去りし時、来る時に想いを馳せていると、やがて得も言われぬ満足感が満ち満ちて、希望が沸き立ってきた。夢の実現が確信され、琴線が震えた。
 (そうだ、一つ一つの構想に具体的な方法と目標値を設定しよう…)と思いたち、こんなときいつも使う大きめのノートをひろげた。
 雪のぶどう畑のように真っ白いノートに向かい、思索を深めながら一点を見つめていると、またまた深い満足感につつまれた。しみじみと、心からの幸せを感じる。
 今までは目指す目標があっても、その目標はあまりに遠く不確かで、たとえ誰の目にも触れないノートであっても書きつけることなどできなかった。それが今、具体的な方法や目標値が、図や数字で書き込まれていく。ほんとうに幸せなことだ。頑張ってよかった。
 ルンズ・ファームの新たな時が、正念場の時が、2005年の幕開けとともに始まった。

ルンズ・ファーム代表: 永澤 徹

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