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 このお彼岸の連休に、いつもの仲間達の協力を得て、新しいぶどうの苗を植えた。
 なにしろ普段は自分一人だけの畑なので、通常の作業はともかく、苗植えだとか収 穫だとかの多数の人手を要する「人海作戦勝負」は全くお手上げで、これらの大仕事 は、ボランティアの皆さんの集れる時にやる…というのが、いつの間にか、ルンズ・ ファーム流の作業の仕方になった。
 だから今回も一年以上も前から、苗やら植え付け方法やら日時やら役割分担やらの 諸々の計画を、練りに練って着々と準備してきた。
 通常の作業をちゃんとやりながら、一方で苗を植えるわけで、当然どちらにも手抜 かりがあってはならない。そのためには綿密な計画のもとで、一つ一つの諸作業を確 実にこなすことがとても大事になる。
 しかし、農業は天候に大きく左右されるので、いくら綿密に計画しても、雨や雪な どで作業不能といった直接的な影響とか、ぶどうの生育状況が、こちらの目論見とあ わないなどの出来事がいっぱいあって、なかなか思うようにはいかない。
 幸いにも今回は諸作業がうまく運び、苗植え前日の夕方にはすっかり準備も整った。
 一応三日間の予定だけれど、できれば二日間でやっつけたいと心中密かに願いなが ら、明日は雨が降ろうが槍が降ろうが何が何でも植えてやるぞと、決意を新たに就寝 した。
 翌朝。お天気の具合はどんなかな?と、起床してすぐにカーテンをあけ、吃驚仰天。 な、なんと、雪が積もっているではないか。(ガーン…。昨日はあんなに晴れて暑い くらいの陽気だったのに、ナンダコレハ〜)

我が道を拓く  暫し茫然。やがて、これからとるべき様々な対応策が音たてて頭の中を駆け巡る。
 が、自分も専業農家五年目。少しは百姓度胸もついてきた。息を整え、こころの体 制をたてなおし、落ち着いて状況を観察した。
 畑もデッキも真っ白。苗木も雪に埋まっている。軽い乾いた雪だ。もう降り止んで いて、積雪は3〜4センチ。気温はマイナス4・1度。今の時期としては相応の朝の 気温だ。
 北から西の空は鉛色の雲が厚い。けれども東から南にかけては低いところに薄い雲 があるものの、高いところで青い空がのぞいている。畑の真上の空がその境界で、境 界線を挟んでトンビがまあるく翔んでいる。少し強い北の風が冷たく足もとにからむ が、なに、赤城の冬はいつもこんなもんだ。
 観察しているうちに、(ヨーシ、これなら大丈夫!)そう判断できた。ホッとした。
 果たして、まだ朝のうちに、柔らかく暖かい太陽の光が射して、春の淡雪とはよく 言ったもので、たちまちのうちに雪も溶け、まずまずの苗植え日和となった。いつも の仲間と楽しく息の合った作業で、アッというまに一日目の予定本数を終了。
 二日目もまずまずの日和で、新しいメンバーも加わり、夕方までにはすべてを植え て、結局二日間で植付けが完了した。苗の数は全部で1142本。
 植えた苗は「甲州」という品種で、このぶどうを使って白ワインをつくる予定だ。  この「甲州」は、ずっと昔に西洋からシルクロードを経て日本に伝来し、現在は主 に山梨県の勝沼を中心とした地域で盛んに栽培されている。このぶどうについての由 来は有名だからご存知の方もきっと多いことだろう。
 ルンズ・ファームでの栽培形式はもちろん垣根づくり。自分は確認していないのだ が、良く知る人の話では、「甲州」の栽培はその殆どが棚づくりで、ルンズの規模で の垣根づくりは多分日本で最初ではないかとのこと。
 もしもほんとうにそうだとしたら実に嬉しい。先行事例がないと苦労もあるけれど、 その分自由自在に考えられる。考えて、実行して、結果に一喜一憂して…。やがて振 りかえれば、それが「自らの道」となっている。我が道を拓く、幾本も拓く。なんと 楽しいことか。

ルンズ・ファーム代表: 永澤 徹

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