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 部屋の窓ガラスによこなぐりの雨が筋をひいて散っている。道を走る車のスピードはゆっくりで、ワイパーの動きだけがはやい。台風14号の激しい風雨だ。きっと今ぐらいからあと少しの間がピークなのだろう。
 今日は埼玉の自宅にいて、このルンズ通信を書いている。赤城の畑はどんなぐあいだろうかと、黒雲が千切れ飛ぶ北の空を見上げて心配になるが、どうにもならない。
 ここは畑の開拓小屋とちがって、新聞もテレビもそろっているので、台風の勢力や位置など手に取るようにわかる。しかしそのぶん、レーダーに映る雨雲の様子や、台風被害の実況放送などをみるにつけ、心配が募る。
 その点、赤城ではそういった情報は入らない。だから、心配はしても漠然とした心配で、具体的な心配はしないですむ。なによりも、畑にいて雲の動きや強い風雨に翻弄されるブドウを見ていると、心配しつつもこのさきどんなになるかはほぼ見当がついて、なんとなく安心できる。わるいときに赤城を留守にしてしまった。
 先日の土曜日に収穫をした。二種類植わっているうちの、早く熟すほうのブドウだ。
 じつは、このブドウは、ほぼ全部の樹が病気にかかっていて、昨年は、収穫したわずかのブドウもまるで使いものにならず、ほとんどを捨てた。
 ふつうなら、すべての樹を伐り焼き捨てるほどの、あまりにもすさまじい病気の実態に、がっかりしたが、(一度植えた樹を伐ることはできない…)との思いが強く、なんとしてもこの病気を治そうと決意した。

自然とたたかう。自然で治す。   秋もおそく葉がおちて冬になったころから、「病気撲滅作戦」を開始した。前例がないのですべて自分で考えるしか方法がない。もちろん化学農薬やそれらの類いは当然使わない。
 今まで自分でやってきた方法をもとに、新たな工夫を加えて実行する。それしかない。
 これは…と思えることはみな試した。厳しい寒さに指先が凍る作業もやった。
 そうしてむかえた収穫であった。収穫量は260.5kg。決して多い量ではない。今年は雨が多く、ブドウにとっては難しい年だが、品質もまあまあで、前述の状況からのことを考えれば、上々の結果だと満足している。
 現在、樹の状態もほぼ健全で、こんどの冬にもまた新たな試みを施す予定だ。
 来年はもっと元気になって、きっとたくさんの実をつけてくれることだろう。
 一方、残りのもう一品種のほうも、順調に育っている。
 ただ、樹によっての成熟度合いのバラつきが、今年はちょっと目につくような気がするが、まあたいした問題ではないだろう。それよりも今回の台風や秋雨前線のほうが心配だ。
 この品種の収穫予定は、前年、前々年の実績からいくと10月下旬から11月上旬。まだおよそ二ヶ月ある。
 ブドウの状態のバラつきやらなにやらも、天候の影響するところが大きい。このあとの二ヶ月、なんとかつつがなくよい日をかさねていきたいものだと願う。
 と、ここまで書きすすんだところで、畑にいるスタッフから連絡がはいった。
 畑のいちばん南側の列とその手前の二列が、強風で倒れたとのこと。
 この列の樹は2003年に畑の別の場所から移植した樹で、今秋が初の収穫になる。すでにたわわな実が色づきはじめている。
 この畑は、南側が空いていて、しかもその向こうに村道が南北に通っている。台風の強い風はたぶんこの道を吹き抜けてきたに違いない。
 まともに風を受けていた一列目が倒れ、次に風を受けたニ列目が倒れたのだろう。風の勢いが衰えないかぎり、次々と倒れる可能性がある。ここの列はルンズの畑でも最も長い列なのだ。

ルンズ・ファーム代表: 永澤 徹

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