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上毛新聞 2001(平成13年)1月30日(火)掲載

赤城山でブドウ園づくり

「訪問者の憩いの場に」脱サラ53歳の永澤さん


赤城山西ろくの赤城村溝呂木で、埼玉県所沢市の永澤徹さん(53)がワイン醸造専用のブドウ園づくりを進めている。「お金をかせぐばかりの生活は終わりにして、心のぜいたくを楽しみたい」。そんな思いで役員を務めていた会社をやめ、以前からの夢であった農業へ転身した。多くの人にブドウづくりの喜びを味わってもらおうと会員組織をつくり、2月3日から入会者に整備地を公開する予定で、「訪れるすべての人のいこいの場にしたい」と意気込んでいる。

 永澤さんは桐生市生まれ。さまざまな職業を経て、スポーツクラブ運営会社の役員となるまで「がむしゃらに働いてきた」。40代半ばを過ぎたころから、「50歳になったら、自然と一体となって農作業や花づくりに取り組む生活をしよう」と心に決め、一昨年計画通り会社を退職。ブドウ畑の土地を探し始めた。

 ブドウは永澤さんにとって大きな節目ごとに出会った特別な果物だった。

 幼いころ、おば一家が育てる大きなブドウ畑で、時のたつの忘れて遊んだ記憶があった。31歳の時、交通事故にあい、5年以上病院でのリハビリを余儀なくされた。いちばんつらかった時期、妻がブドウを買ってきてくれた。永澤さんの好物だったが、高価なため遠慮し、ひと粒ずつ、大事に食べた。その時妻がこう言ってくれた「神様がくれた休みだと思えばいい」。ブドウの味と妻の言葉に「救われた」。12年前、知的障害者がブドウづくりから、ワイン醸造まで手がける「ココ・ファーム。ワイナリー」(栃木県足利市)を訪れ、生き生きと働く姿に感動し、作業を手伝うようになった。そんな経験が「自分でブドウ園をつくる」ことへと自然につながった。

 2年以上にわたり、ブドウ畑の適地を求めて各所をめぐった末、「日照時間が長い」「年間雨量が比較的少ない」「昼夜の温度差が大きい」などの条件を満たす赤城村の用地が見つかった。標高560メートルで4.8ヘクタール。土を耕して支柱を立て、4月には苗1万2千本を植え始める。5年後には収穫できるようになる。醸造はココ・ファーム・ワイナリーに委託する。ブドウ園は、栽培とともに「弱った心と体を癒(いや)し、人間らしい喜びがよみがえる場所にしたい」という。このため、「ルンズ・ファーム倶楽部」を設立、会員にブドウ園を開放し、緑を楽しんだり、農作業をしてもらう。さらに、園を訪れる人のためのレストラン、ロッジを設け、レストラン内にギャラリー、コンサートステージなどを設けたいという。

 現在会員は約200人。「畑にきてもらう人には、原野の状態から見てほしい」と3日から現地を公開する。問い合わせは同ブドウ園(TEL0279・56・5333)へ。

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